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5.食害からの亜鉛摂取量(図8)
1)亜鉛摂取量は男性は9161μg、女性は7780μgである。
2)1000kcal当たり男性は4818μg、女性は4995μgである。
3)体重1?当たり男性は155μg、女性は148μgで、体重差、エネルギー差による影響はないとみられた。本調査では亜鉛含有量の多い“かき”は入れていない。亜鉛は食物の種類によって含有量にバラツキが大きいが、エネルギー制限の中でも糖尿病患者はバランスのよい食品構成を守っているため、適正な摂取量が認められた。
6.亜鉛摂取量とたん白質、重鉛摂取量とエネルギーとの相関(図9)
亜鉛摂取量はたん白質の摂取量とは、グラフに示すように高い相関が認められた。摂取エネルギーとも同じく高い相関が認められた。これによって栄養バランスを配慮していないエネルギー制限食やたん白制限食は亜鉛欠乏の可能性が高まることが考えられる。
摂取エネルギーは平均1745±393kcal、たん白質は81.6±17gである。たん白質によって亜鉛の吸収に影響するといわれているが、適正量の摂取である。
まとめ
食事調査では亜鉛の摂取量は良好、血中亜鉛は全例正常。尿中亜鉛は男性は4例、女性は5例に増加例がみられた。
味覚感度は良好であり、尿中・血清中の亜鉛濃度、食事調査のいずれからも本対象者である糖尿病患者の亜鉛摂取に問題のないことが示唆されれ今後症例を増加して研究していきたい。
〈追加〉
その後、初診糖尿病患者で味覚異常主訴のあった1例(65歳、男性)に天然の海草加工食品「ZINK」(1粒=亜鉛15mg)を服用して回復し、QOLを高めて生活している。また、糖尿病患者以外で味覚異常を訴えた症例に亜鉛を服用して回復した例、化学療法中のがん患者の味覚障害・食欲不振の改善に効果があった。

 

 

 

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